辨 |
イカリソウ属 Epimedium(淫羊藿 yínyánghuò 屬)には、ユーラシア・北アフリカの温帯・暖帯に約20種がある。
E. acumitana (尖葉淫羊藿・粗葉淫羊藿) 『中国本草図録』Ⅶ/3110
E. brevicornum (淫羊藿・心葉淫羊藿・短角淫羊藿) 『中国本草図録』Ⅳ/1631
E. cauminatum(尖葉淫羊藿)『中薬志Ⅲ』p.188
クモイイカリソウ E. coelestre
E. davidii(寶興淫羊藿) 『中国本草図録』Ⅶ/3111
バイカイカリソウ E. diphyllum
E. elongatum(長柄淫羊藿・川西淫羊藿)
E. grandiflorum(E.macranthum)
ヤチマタイカリソウ var. grandiflorum(淫羊藿・大花淫羊藿・三枝九葉草)
白色花
イカリソウ var. thunbergianum
ヒゴイカリソウ var. higoense
E. hunanense(湖南淫羊藿)
キバナイカリソウ E. koreanum(E.koreanum;東北淫羊藿・朝鮮淫羊藿)
『中国本草図録』Ⅲ/1131
E. leptorrhizum(黔嶺淫羊藿) 兩湖・四川・貴州産
E. pubescens(柔毛淫羊藿・長葉淫羊藿) 『中国本草図録』Ⅶ/3112
ホザキノイカリソウ E. sagittatum(E.sinense;三枝九葉草・箭葉淫羊藿・
淫羊藿・羊合葉)
E. sempervirens
トキワイカリソウ var. sempervirens 白色花
オオイカリソウ var. rugosum 紅紫色花
オオバイカリソウ E. setosum
E. wushanense(巫山淫羊藿)
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メギ科 Berberidaceae(小蘗 xiăobò 科)については、メギ科を見よ。 |
訓 |
和名は、花の形から。
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『本草和名』淫羊藿に、「和名宇无岐奈、一名也末止利久佐」と。
『倭名類聚抄』仙霊毘草に、「和名宇無木奈、一云夜末止里久佐」と。
『大和本草』淫羊藿に、「碇草ト云」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』に、「イカリサウ クモキリサウ江戸花家 カリガネサウ加州 カナビキサウ豫州 テンドリバナ城州大悲山 サンシクヤウサウ」と。
岩崎灌園『本草圖譜』(1828)に「淫羊藿(インヤウクワク)」と。 |
漢名の淫羊藿は、この草を食うと羊が発情するということから。
李時珍『本草綱目』(ca.1596)淫羊藿の釈名に、「之を服すれば、人をして好んで陰陽を為さしむ。四川北部に淫羊有り。一日百遍合す。蓋し此の藿を食して致す所なり。故に淫羊藿と名づく」と。 |
説 |
日本の、北海道(南部)・本州(近畿地方以東の太平洋岸)・九州に分布する。埼玉県では準絶滅危惧(NT)。
種としては、遼寧・吉林・黑龍江・陝甘・山東・江蘇・江西・湖南・廣西・貴州・四川にも分布。 |
誌 |
中国では、同属の植物のうち次のものの全草を淫羊藿(インヨウカク,yínyánghuò)と呼び、その根を淫羊藿根と呼び、薬用にする(〇印は正品)。『中薬志Ⅲ』pp.181-188、『全國中草藥匯編』上 pp.729-730 『(修訂) 中葯志』IV/634-644
E. acumitana (尖葉淫羊藿・粗葉淫羊藿)
〇E. brevicornum (淫羊藿・心葉淫羊藿・短角淫羊藿)
E. davidii(寶興淫羊藿)
E. elongatum(長柄淫羊藿・川西淫羊藿)
E. hunanense(湖南淫羊藿)
〇キバナイカリソウ E. koreanum(E.koreanum;東北淫羊藿・朝鮮淫羊藿)
E. leptorrhizum(黔嶺淫羊藿)
E. pubescens(柔毛淫羊藿・長葉淫羊藿)
〇ホザキノイカリソウ E. sagittatum(E.sinense;三枝九葉草・箭葉淫羊藿)
日本では、生薬インヨウカク(淫羊藿)は キバナイカリソウ、イカリソウ、Epimedium pubescens、Epimedium brevicornum、Epimedium
wushanense、ホザキイカリソウ又はトキワイカリソウ の地上部である(第十八改正日本薬局方)。 |
同属の植物の全草は強壮剤。イカリソウ・クコ・マタタビなど30種以上を長期間酒に漬け込んだ「強根酒(qiănggēnjiŭ)」は、有名な強精酒。
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